生きることは好きを形にすること

好きなものとか考えていることを形に残していく日記らしきもの。レビューも稀にする。

劇団クロジの舞台「いと恋めやも」を見て。

※固有名詞を記載するのが苦手なので、とある家族を主体として代名詞で進行します。
別に深い意味はないです。

 

クロジさんの舞台を見てきました。

www.kuroji.jp

でも、これ専用URLではないようで多分書き換えているっぽいから来年にページを見たら、見れない可能性が高いなぁと。

ということで、初ツイート引用。

 

まずなんだ? なんて言ったらいいの? 何を書けばいいのかな。

圧倒された。

上演中から色々想起させられてボロボロ泣いていたのだけど、本当に、なんだろう。終わってからもなんか抜け出せなくて、わからないというのが本音です。

 

シナリオというか脚本が好みで好きで、初めての観劇だったからこそ、何もいえなくなりました。目的はとある人の舞台上での演技が見たいだったからこそ、本当にただただ好みでびっくりしました。
終わってから、シナリオが好きかつ、トラウマというか私のやわいところを刺して刺されて血まみれだったのでなんとも言えないとずっとしていて、終わってからしばらくの感想が「かなしい」しか出てこなかった。

終わってからも「かなしい」の暴力でしばらく感情が死ぬしかなかったです。

内容的にはハッピーかどうかは多分個々人の感想に分かれるので詳細は省きます。

でも、私の中で出てきた言葉は「かなしい」だけだった。

 

言葉にならないので、頑張って言葉にしてみますが、色々と御容赦いただければと思います。
なお、そこまで記憶することが得意ではないので、記憶違いがあるかもしれません。御了承ください。

 

 

簡潔な説明としてはとある一族の愛の話。
母一人、子五人のとある家族の家族愛と夫婦愛と恋愛を主軸にしたお話。

キャラクター全員愛に溢れているのだが、ただの恋愛劇ではない。

 

細かい感想として、一族の誰もが何回も椅子に座るんだけど、その挙動を見て欲しい。
ドレスの裾を着物の裾をジャケットの裾を配慮して座る姿はどう見ても貴族の振る舞い。特に男性人のジャケットばっさぁが好きなので注目してもらいたい。母の足の向きやドレスの裾を持つ姿も推している。

あと、長男の恋人の父親が出て行くときに、長男と(あんな言い争いしていた)長女が一礼している姿がこれまたいい。見て。

 

あと一族と+α人の名前が色の名前らしいと聞いて気になったのでカラーコード載せていこうと思う(と思ったら、主演の方が載せてくれたのでそっとツイートを添付)

モチーフが桜なので、桜に近い色だと思うとそれはそれですごいなぁとも思う。

 

 

ここから先はどんなに努力しても核心に触れざるを得ないので内容を知りたくない人は見ないようにしてください。

 

 

 

家は実は人食い一族であり、人を食わねば生きてはいけない一族だった。
だが、その人食いは困った習性があり、愛する人ほど美味しく感じてしまうのだ。

この物語の(時系列としての)最初は一つの桜から始まった。
桜は長く生きたせいか人になったのだが、人として生きようにも人を食べてしまう。孤独を恐れた桜は子を産み、孤独を埋めた。
それが今回の一族の始まりである。

孤独から逃げるために子を産み、家族のみんなに幸せであってほしいと全てを許容し続けた母。
人食い一族の運命から逃れるために家を飛び出し、飛び出した先で恋をした長男。
兄に憧れながらも家を守り、ひょんなことから嫁を娶り、嫁によって変わっていく次男。
恋に憧れ、愛を欲し、運命の出会いを果たした長女。
斜に構えて、シニカルに過ごしながら、愛する妹のために生きる三男。
家族以外は認めず、家族が変わらないことを望み、大人になりたくない次女。

そして、長男の恋人、次男の嫁、長女の恋する人とその他家族知り合いが登場人物になる。

 

ここまで書けばなんとなくシナリオをお察しできるかもしれないが、(客を含めて)人食い一族と知らずに普通に恋愛していた各々方だった。
しかし、一族の人間が愛する人ほど美味しいと感じるために、一族の人間は我慢できずに愛する人を食べてしまう。

そこから精神を病んだり、愛する人を拒絶したり、嫁に食人がバレたりする。そうこうしていくうちに、地域のすべての人にばれて一族が追い詰められる話だ。

主題は最初に書いたように、「家族愛と夫婦愛」で、副題が「いのちを食べるということ」だと思っている。

 

キャラクターとして誰が好きかといわれると一族の母親と次男除いた全員だ。つまりは、長男・長女・三男・次女だ。
私のキャラクター嗜好は簡潔にいうと「人に憧れる人外、もしくは人間とは呼べない人格を持った人間」だ。
それを踏まえたうえで4人の何が好きかというと、人であらずながらも、人に焦がれ、自分を大事にしているところが好きだ。あとは一応人であるのにも関わらず、人ではないと思い込んでいるところも好きだ。

 

内容を詳細に覚えているわけではないので、個人的に心に残ったところの感想を書きたいと思う。

ということ、個別キャラ感想。

 

・長男:緋桜院 蘇芳

最初から胡散臭いというか、放蕩息子であり自由気ままに生きているタイプの生きることを演じているキャラだなと思った。つまりは私の好みだ。

言動が大げさでうそ臭い。見た目が粗野で荒々しい。だが、家族や恋人に対しての空気の読み方はどう見ても気遣いできる人のそれ。

このタイプは良くある話なのだが、演技性が強いのは自分に自信がないからというのがある。自分が嫌いで、そんな自分を嫌いな自分を見られるのが嫌だから、テキトウなちゃらんぽらんな自分を見せて、それを自分だと思ってもらおうとする。長男はその気があると思う。周りの変化が怖いのは、変わった相手が自分を嫌いになってしまうかもしれないから。

もう一つこのタイプは良くある話なのだが、真面目な話を恐れているとも言えるのだけど、場を明るくしようと大げさにおちゃらけて振る舞うため、致命的な場所で致命的なことをしてしまう。

納得の後半の荒れ狂いようなのだが、この長男が恋人を殺しさえしなければ、一族は解散にはならなかったとも言える。支柱にもなる人は崩壊の一押しが上手。

 

まあ、一族解散の一因がこの長男というのは、逃げ出したとはいえ家の責任を背負っていたであろうからありなのでは?とは思う。つよく生きていてほしい。

家族が大事ではあったんだろうが、その隠れた一族に閉塞感を感じていたからこそ飛び出しただろうに、そこで出会った運命の人が「自由になりたい」と変かを望んだ言っているのにも関わらず「変わるないでほしい」と呪いをかけている様が滑稽だなとも思った。
まぁ、その運命の人に変わらないでいて欲しいと思ったからこそ、実家に連れ帰ったという見方もできる。

「変わらないでほしい」という気持ちに物凄く共感ができるのだけど、彼は閉塞感溢れる実家から飛び出して自由を求めたのにも関わらず、どうして恋した結果実家に帰ったのだろうかとも悩む。

実家では粛々と食人が続けられていたが、それに参加していない長男はどこで人を食らっていたのかが不明であり、そのあたりがきっかけなのかもしれない。
昔はとある人を愛してはいなかったし、添い遂げたいとは思わなかったけど、もしかしたら相手側が長男に恋をして、一族の秘密を知り、「私を食べて」と言ってきたのかも知れない。そういう変化を何度も何度も経験するうちに、人に対して自身が食人をすることを言わなくなり、それであの恋人に出会ったのかもしれない。だからより変化を恐れたからこそ実家に帰ったのかもしれない。永遠に咲き誇る桜と母という変わらない存在を求めて。

確かに最後に恋人という人肉を口にしているのため、食人の空いている期間は次男よりも後なのだが、どう考えても次男の次に人肉を口にしていないのに、体の呪いが来ていないのが謎。放浪中に食べないを繰り返しているうちに耐性がついたのかなって思った。思っただけ。

 

 

・次男:緋桜院 鴇忠

多分、私の書き方だと一切伝わらないけど、主人公です! メインヒーローです!!

最初の頑なだったのにすーぐ嫁にほだされたチョロいヒーロー。ツンデレ。固めた髪がどう見てもイケメンです。初めて固めた髪で格好いいと思ったし、そのままでいて欲しいと思った。お顔が素敵。格好いい。すげえ。

 

兄に憧れ、人に憧れ、それでも家族を愛し、母の許しの中で当主として凛々しくいつづけた次男。でも、彼は恋によって変わってしまった。

とはいえ一族解散の要因がこの次男というのは、長男よりも家の責任を背負っていたであろうからありだと思う。まあ、三男が何かしなくても発狂中の長男が同じことをした可能性はなきにしもあらず。でも、次男が引きこもっても長男がまともならきっと解散しなかったんだろうな、って思ってる。

 

きっと彼が人肉を集める手段の中で、恋愛を用いることもあったのだろうと思っている。自分の感情は動かず、相手が勝手に恋をして、褥を共にしているときに殺すこともあったのだと思う。
まあ、メインは人身売買もしくは臓器売買だと思うけど。

でも、その金はどこから捻出していたんだろうか。正直にこの一族の金策が気になる。まあ、ちょこちょこお出かけしていたし、古くから存在するから、他人に任せて土地経営しているのが一番現実的かな?

だから、古くからの豪族である春日家(長男嫁実家貴族)も知っていたし、当主の顔も見知っていたと考えるのが妥当。だって、食事はしないし「当主は幽霊」って噂が立っていた以上は、社交界の場にも出ていないでしょ? 本当に何して生きていたんだこの家族。年齢の取り方も不明だけど、人より長命くさいから見た目問題とかもどうしていたか謎。設定資料集がほしいですね!!!

「恋なんて馬鹿馬鹿しい」と思っていたと思うし、「自分が誰かを愛することもない」と高をくくっていたようにすら思う。

それでも「家長である母の命令」で結婚してしまい、嫁のひたむきさ、人間らしさに恋をして、愛してしまう。実は誰よりも誰よりも「人間になりたかった」人であり、それを表しているのが「俺ももっと人間らしくいていいのだろうか?」に込められているのだと思う。自分が化け物であると最初から認識していたからこそ「人間に憧れていた」人。だから、人間と必要以上に関わらないようにしていたし、関わらせなかった。

まあ、人肉の手配している時点で自分は人間ではないと思っちゃうよね。繊細だし。

でも、家族を愛する気持ちはずっと変わらず、それは弟妹への声音、態度でわかる。家族間では挨拶をきちんとするし、時間は作ってでも家族の時間を大事にしている。長男が出て行ったからっていうのもあり、いい兄でいようとしているのもわかるし、実際いい兄なんだなって思った。

 

食に対して嫌悪か拒絶かを最初に、そしてずっと発動した一族唯一の人。そして、この人がその他一族の食管理をしていたからこそ、食人一族の露見が早まったとも言える。
自分が食べなくても、一族が食べるのを止める資格はないと思っていそうだなって思った。

でも、家族が大事で家族を愛していながらも、自分が食事の用意を放り投げた後を考えることすらできなったあたり、恋ってやっぱり状態異常だなーって思う。

決して最後までは家族<嫁でなかっただろうにね。嫁が家族より大事というのが悪いか否かは置いておくけど。

 

 

・長女:緋桜院 雀

うらやまけしからんあなたになりたいが一番の感想です。日替わりゲストである臙様の恋人役(正確には長女の恋人役が日替わりゲストである)

あとドレス姿が素敵で、奔放で負けん気が強く、格好いいなって思った。恋する女性としても、ただの女性としても、人間としても、個人的にずっと憧れるタイプの人間です。素直で純粋で、自分を大事にしているところがなお好き。私とも恋愛してほしい。

 

恋に恋していたし、愛を欲していたかわいらしい人。家族から「結婚お化け」と揶揄されるほど恋愛に憧れていたけど、彼女が臙様に恋した気持ちは何の嘘もなく、事実恋なんでしょう。

刺繍の話のあとの描写で実際進展したんだろうし、だからこそ、臙様も家宅侵入をしたんだろうなとも思う。

 

恋愛に憧れてはいたけど、頭も回り勝気な女性ってどうしても恋愛しにくい。自分が強いと自覚していればしているほどに。

だから彼女の「守るって初めて言ってもらった」っていうのに対する感動と感激は深く、深く伝わった。

 

でも、そんな初めての恋で愛だったからこそ、"いい匂い"に耐性がなかったんだろうなぁ。相思相愛でも幾日かは耐えれた兄たちは恋愛を用いて、食人をしたことがあったんだと思う。ほんのりといい匂いがしても、我慢ができるように、生きていくうちに学んでいた。だから、恋人を嫁を食べないでいられたのに、恋に恋してきた彼女に愛は知らなかったのだと思うと、やっぱり胸が痛い。慟哭すら愛おしく、母が「食べていいの」という姿がね。本当にね。もう、なんか、でも、そうはしたくはなかったんだよね。*1

恋人を食べてしまったことに気付いた長男と次男の姿がなお胸に来る。特に次男は長女の恋愛を当主として許したんだよ。そして恋ができたことを心から心から祝福していたんだよ。その上で、食べてしまったことに、運命と欲望から逃れることができない事実に苦しんだ。だから長男嫁を拒絶したのだと思うと、それが優しさなのだしエゴだとも思う。

愛しい人を食べる可能性があることに向き合わなかったな長男
と自分が嫁を食べてしまうかもしれないことを恐れた次男、そして、化け物として自嘲気味に諦めて生きることを決めた長女の久しぶりの飲み会はただ見ていて胸が締め付けられた。

このときいつも通りで出てきたときは「強い」と思ったけど、自嘲気味に「化け物」なんだという姿が胸に今も刺さっている。

私は化け物ではないけど、わからなくは、ない、と思う。自己嫌悪すら、飲み込んで心配かけまいとすると強くならざるをえないのよね。守ってくれる人は、支えてくれる人はもういないから。

 

多分下手すると、本当に「臙様以外とは添い遂げない」んだろうなぁって思った。生きているのなら、いつかその傷が癒えることを願うけど、個人的にはずっと引きずって欲しい。私はそういう愛の呪いが一番愛おしいから。

最後の次男との話で長男に対して「いいなぁ……!」っていうのと、次男と一緒に「会いたいなぁ!」っていう姿を見るたびに泣いている。
そう、自業自得だし、過去は変えられないんだけど、羨ましいし会いたいんだよね。もう会えないけど。もうどこにもいないけど。

私はまだ会えるから、後悔しないように頑張ろうって思った。ありがとう、雀さん。わたし、雀さんのこと大好きだよ。

 


・三男:緋桜院 時春

主要人物ではあるけど、メインではない三男。
それでも個人的に大好きな三男。どこが好きかと聞かれれば、妹に執着する姿ですね。

そして、人間は下等と思いながら、最後に次男嫁に泣きつくわけで。そこが滑稽ながらも愛で動いているからこそ愛おしくも感じる。

愛というか、頼んだその理由は妹(次女)にご飯を食べさせたいから次男に元気になってもらうため、だと思われる。次男も好きなんだろうけど、どうしても発想と考え方が妹本位なんだなって思う。だから、自分が頼み込んでいるのにも関わらず、動いてくれない次男嫁に苛立ったんだろうなって思う。

 

長男も次男も大好きだけど、憧れていることもなくはないだろうけど、決して長男のようにも次男のようにもなろうとはしない人。諦めているというか、憧れてはいるというか尊敬はしているけど、自分とは別物として綺麗な線引きしていると思う。シニカルに生きているというか斜に構えている。

あと、勿論、言動にしないだけで長女もめちゃくちゃ好きでしょ?知ってた。

 

母は次女に「何にも教えてあげられなくてごめんね」とは言っていたけども、多分この三男もそこまで教えてもらってないと思う。

変わらないことと妹のために生きること以外に望みがないからこそ、何にも知ろうとしなかったし、外界にも触れることがなかった感はある。

妹好きすぎてバックハグしているのが好き。あと食事ごとに妹の口を拭くのも好き。

 


・次女:緋桜院 撫子

主要人物ではあるけど、メインではない次女。

幼いからこそ一番感情がむき出しで化け物じみていると思う。そこが大好き。

まず可愛い。めちゃくちゃ可愛い。正直撫子さんの全てを定点カメラしたいぐらいかわいい。一挙手一投足すべてがかわいい。見てほしい。私撫子さんがめちゃくちゃ好きです。最高にかわいい。

 

幼いからこそ全員からただ愛されて、甘やかされて、愛されてきている幼女。その家族愛に応えるように彼女も家族を愛しているし、大事にしている。その愛情表現が永久に一緒にいることだったと思う。

だから、長男に早く帰ってきてほしかったし、お仕事している次男を引き止めていた。
だから、長男恋人も次男嫁も嫌悪して、ついでにその他人間全て嫌悪していた。

彼女にとって人間は家畜であって、喋りかけてくること自体深い極まりないのに、家族同様に振舞おうとする長男恋人と次男嫁は不快の塊でしかなかったんだろうね。つーか、家畜と兄様の交際も結婚も許せないわ。仕方ないね。

 

次男嫁が「みんな家族です」に「欺瞞ね」と返す姿と、長女が「大人になっているのかもよ?」に対して「大人になんかなりたくない」と言っている姿が記憶に残っている。

何も知らないくせに、本当のこと知ったらどうせ家族になれないとも思っているから「欺瞞」と言ったんだろうけど、どうしても追い出したかったらバラせば良かったとも思う。それをしなかったのはそういう頭がなかったのか、もしくは自発的に引き起こす変化を恐れたか。

 

最後の三男との会話で「桜になっちゃおうかな」というものの、三男に望まれたからまだ生きるとなっているのが不思議ではある。貴族として何もしなくても生きていける生活だったからこその彼女で、これからどう考えて大変な人生しか送れないのに彼女はそれでも望まれたから生きていられるのだろうか。

登場人物の中で、彼女の幸せを一番望んでいるので、物凄く心配です。

 

 

・母:緋桜院 茜

美しきママン。愛に溢れたママン。

物語の元凶であり、桜の化身ですらある。
人間ではないからこそ共感性はないし、面白いからと何でも決めてしまう、THE 貴族の家長。でも、みんなそれに文句もないから、上手くできた家族だと思う。

個人的には何も思わないのだけど、最後あたりで「産んだことに後悔はない」というそれがただ素敵で、なんか苦しくて、気付いたら涙が出ていた。
ああ、そうか、これが母親なのかと思った。わかるけど、わからない。私は母親になる気がないから一生わかる気はこないのだろうなぁとも思う。

 

最後の最期に「最大の呪いをあげるわ。……子供たち、愛していたわ!」という姿にしびれた。

そうだね、親の愛は呪いだ。私はちょっともらい損ねているはずなのに、呪いは実感できるから本当に呪いだと思う。それを自覚して、その呪いに込めた言葉には「幸せになってほしい」という愛も見受けられるのでやっぱり素敵だわ。

 

 

・長男恋人:薫

何も知らない世間知らずのお嬢様。多分勢いで恋をして、勢いで家を出て、色々見聞きして、自分が箱入りのお嬢様であることが余計しんどかったんだろうなぁ。

キラキラとして輝いていて、本当に子供だった。

今までは家族のために考えてすらいなかった、自分の幸せを考える機会に恵まれて、自由になりたい大人になりたいと願って、その結論が「仕事がしたい」だったんだと思う。でも、本当に仕事がしたいのではなく、知見を広げたいが本心だったんだろうなって。

 

自分の意見を否定されたから意固地になったし、相手が怖かったから逃げ出した。子供だったから長男の本心は今まで一切見えなかったし、長男の本心に向き合い方も知らなかったし、自分が知らない・見えない感情が怖かったから距離を置こうとした。

本当に、恋も愛も知らないお子様だったんだけど、きっと明日には大きく成長したと思うんだ。

余裕がなかったあの家族が悪いといえば悪い。

 

死ぬ瞬間の演技が好き。

個人的にはお父様に愛されていた羨ましい人。

 

 

・長男恋人父:春日総連

お父さんがマジでお父さんしていて、最高にお父さんだった。
私は父親ってどんなのか全然わからないけど、多分きっとこれが理想の父親像だって感じ。

娘が宝で大事で大事にしていたのに、盗られたから怒って乗り込んで、娘と娘が選んだ男を信じて幸せを願ったのに、殺されたから鬼と化した。

怒りで一族滅ぼそうとしたけど、実際あれ母以外別に誰も滅ぼしてなくない? まあ、一族が闇に葬られたのは事実です。お疲れ様でした。

 

でも、お父様や、「鬼に嫁いだ時点で鬼」って言ったらお前の娘も鬼ですけど、じゃあ、お前の娘がもし生きていたら殺すんだな???
私は感情論による矛盾が嫌いです。

 


・次男嫁:つつじ

主人公です!!!!!!!!!!!

ただ、困ったことにコメントがない。あ、強い感じのヒロインだ!以外に言えない。好きだし、万人受けすると思う。

恋も愛も知らずに先に結婚して恋と愛を知った少女。

そして好きな人のために人生をかけた少女。
好きなんだけどなぁ。このあたりは他人の感想を見たほうがいいと思う。

 

 

・長女恋人:臙 ※ここが日替わりゲスト

日替わりゲストの話

 

○26日マチネ

いやイケメンすぎない??????? あまりのイケメンさに「ひえっ、王子様……!」って思ったよね?思ってるよね?未だに楽屋での軍服姿見るたびに「王子様じゃん……」って言ってる。ゲストのお顔は全部見たし、数人衣装姿も見ているけど、この方が一番王子様している。軍人じゃなくて、王子様でしょ?

 二枚目の写真の真ん中です。


優しさと芯の強さが見えて、某申し込みするときは内心「よかったね!良かったね!幸せにね!!」って思った。

あと生真面目すぎてそこが逆に愛おしかった。こう、好きだけどドキドキして何もできない中学生の恋愛を見ているようだった。きりっとした雰囲気と優しい声音で純粋に好きだなって思った。本当に王子様だったし、格好良かったんです。お察しください。

「2人だけの秘密ですね」ってあたりで打ち抜かれたので、そのあたりも色んな人のやつが見たかったなぁと思っている。

あと、次男の詰めより方が近すぎて、「あの距離まで近づきたくなるイケメンだもんな」って心から思っている。*2格好いい。

公式からもピュアって言われているんですけど、えー本当にマジで無理でした。イケメンを浴びた。

 

でも、割と思い入れのある人ではあるので、ちょっと一部シーンで「羨ましい」か「そんな体勢いいの?」か何か思ってしまって、私は世界の一部になるのが苦手なのかなぁと思った。
やっと手を繋いだ先がまさかあんなことになるなんてな……。

 

 

○26日ソワレ

はいすきー。大好きー。衣装はマチネで見て、知っていたはずなのに、ときめきすぎてしばらく動悸が苦しかった。

あの方の声のみならず演技を目の当たりにして、呼吸を忘れました。一目惚れってああいう気持ちなんだろうなぁ。衝撃だわ。

マチネの方のほうが王道的な「王子様」なんだけど、私からしてみればこの人以上に私の「王子様」って言える人を知らない。

呼吸が、間が、目線が、声音が、演技が、一挙手一投足が好きなんだなって思った。あなたがもし俳優をしていたのなら、私は俳優のあなたに出会った瞬間からすべてが始まるんだなとも思う。どんなあなたでも、演技をしているあなたに会えるだけで、世界が変わるんだと思う。好きです。

 

どうやら日替わりゲストの中で一番ちゃらかったらしい((

 ))んだけど、多分それは迷うことなく長女の手に触れたから、ではないかと思う。

だって、時代が大正時代っぽくまだ男女の異性の確執が大きい頃で、軍隊所属の軍人さんが令嬢のお手にそう簡単に触れるかなー?

マチネの方が刺繍の話の最後に手をそっと触れるだけの手の繋ぎ方をしているのに、その前から手を引くプレイボーイっぷりが、ちゃらい要因では? と思わなくもないです。

あと噂によるとほっぺに手を当てているときに親指で撫でる、というものもあったとかで。とりあえず、好きだなが追加されたけど、チャラいといわれる要因ではとも思いました。好きです。

 

あと、声が過剰に”作られていた”のも要因のひとつだと思う。声だけすこーしキャラクターから浮いていたような気がする。そしてその声音が王子様とチャラい系の間の声だった。あなたのファンは双方心当たりがあります。好きです。

まぁ、あとは酒を飲む場所が最高に最高で最高でして。そのお酒はレミーマルタンの30年もの。ちなみに、レミーマルタンはブランデーです。

趣味でウイスキー瓶一気とかしたことあるけど、そうなのよね。最初酒の匂いに当てられて「ひぃ」ってなるし、これ一気するのってバカの所業じゃない?って思うんだよ。もう、徹頭徹尾「それな!!」だった。流石酒飲みはやることが違う。そこが好き。

定点カメラになるっていうのも物凄くわかった。

あとに最後見てください。

 この、ファンを殺しに来るこの画像。本当にあなたはそういう事する……。ありがとうございます。好きです。

色々伝えたいのに伝え方がわからないんだよ。どうすればいいんだ……。

 


臙というキャラクターについて。

劇内部では一番初めの犠牲者なわけです。

中尉とそこそこの立ち位置の彼がいなくなってどの程度で露見するのかが一番の気になりどころではある。見た目というか立ち居振る舞い的にもいいとこのボンボンだろうし。まあ、今でも脱柵しても大変なのだから、この時代はもっと大変なのでは? と思うと、本当に色々と心配してしまう。余計なお世話なんだけどね。

 

基本的に、”彼”目当ての人も多いから、彼が死ぬ瞬間どうしたのかという考えをちょこちょこ見かける。

 

一番の願望としての彼は受け入れてほしいなと思う。雀さんの愛の形を。文句も言わず、理解して受け入れてほしい。笑顔で「いいですよ」って受け入れて、そのまま穏やかに死んでいってほしいけど、多分これは一番ないだろうなぁと。

恋愛的に病んでいる人が好きだから、”相思相愛の自分が死ぬことで相手の記憶に永遠と残ること”に幸せを感じてほしい。それこそ、私にとって”愛”は”呪い”なので。

まあ、一般人で普通に恋した彼がそんなトチ狂った発想はしないと思うので却下である。

 

時点願望は事後寝ているときにひっそりと殺してほしい。

でも、事前に「いいにおい」としている以上、まあ、事に及ぶ前に食べているよなと思うので再度却下。
でも、(演出が面倒とは言え)「いいにおい」と言っているその場で食さず、舞台袖という名の自室に持ち込んでいるのはやっぱり最中が一番美味しいのかなとも思う。

とすると、反撃で殺したり罵倒する余裕はなさそう。まあ、当たり前ながら服着ているので、着衣でするか? と思うと以下略。

 

段々最中の考察しつつあるから願望も述べたしやめよう。うん。

でも、結論的には臙様に「会いたい」というのだから、そこまでひっどい拒絶は受けていないと思う。それこそ、「化け物」と罵ったり、サーベルで切りつけたりはしてないと思う。

 

 

最後に、この役が日替わりゲストなのが上手いなって思った。長女の愛する人が本質(台本)は違えど、別の人で別々の方法で長女にアプローチして、長女は本当の愛を見つけるのだ。

結論として、愛の果てに食われて、劇として繰り返すわけなのだが、劇としての繰り返しと、長女の過ちとしての繰り返しが上手く例えられているような気がした。

 

 

 

総括。

まず副題であろう”食べる”ということについて。

私は人を食べるということにおいては何も思っていない。食べれるものが限られているのなら、それは食してもいいと思う。弱肉強食の世界に何の違いもない。
ただし同じ人間として認めるためには社会が制度化しない限りは難しいだろうとも思う。死体を食すにしても、希望者を食すとしても、金銭のために部分を移譲するとしても。

人間を食べることについて、嫌悪感を抱くのは多分それが正常な倫理観なのだとは思う。でも、その食べる相手が私か他人であれば基本的には許せるとも思う。食べるのはいいから、殺すときにできれば痛みがないとなおいいなぐらいで。

でも、私の大事な人がそうして犠牲となったら、私は多分烈火のごとく怒る。許せないし、長男恋人父のように一族根絶やしにする。拷問でもなんでもして生きることを後悔させてやる。絶対に許さない。が、その感情の熱量を失ったとき、一緒になりたいとも願うのだ。大事な人が食われたのなら、大事な人を食った人に食われたい。そして再度巡り合いたい。多少ロマンチストでは?と思ったがそもそも状態が異常なのでそっと閉じる。

本当に人を食べるという点については、何も思わないというのが本音だ。

 

次に主題、”愛”について。

私にとって愛というのは舞台の結論に近く「相手との未来を想像できること」である。
相手と一緒に生きていたいから生きる、というのが愛。
相手の幸せを望む感情が好き、だ。

ということを前提に考えると、私には家族愛というものがわからない。

別に家族と呼べる血縁者が「好きか?」と訊かれても普通に困る。別に好きじゃないが、どちらかというと幸せでいたほうがいいのではないか、ぐらいの感想だ。産んでくれたことに対する感謝もなければ、育ててもらったことは義務だと思う。それ以上に何か思う感情は捨てた。

だから、家族を愛する母の気持ちも、大事だったのにも関わらず一族皆殺しを望んだ長男の気持ちも、愛する家族のために当主として動いていて最後に嫁を選んだ次男の気持ちも、私にはわからない。理解ができないし、理解するだけ苦しくなるため理解したくもない。

家族に固執する理由もわからないため、そっと置いておく。

 

夫婦愛や恋愛ならわかるし、舞台「いと恋めやも」を見た感想として思うのは、愛はいいものだと思う。

長男の恋人に対する愛は、かごの鳥を愛でるような、庇護欲と独占欲を含めた愛だったのだろう。ずっと変わらず自分の隣で囀ってほしかったのだ。すごくわかるし、殺して食してその果てに狂って、家族巻き添えにして死のうとした最後に「会いたい」と嘆くあの愛は見覚えがあるし、懐かしくすら思う。自分勝手だし、自業自得だ。でも、じゃあ、どうすればいいのかなんて当人にはわからないのだ。まず演技性の病気を治さない限り、自分を好きにならない限りきっと繰り返してしまうだろうが、その全てがやっぱり私からすると愛おしく感じる。

次男の愛は、同じ愛の形だからこそいうが我儘だと言える。特にああいう状態・症状・人種の人間の言うそれはただの我儘だ。相手のことを一切省みず、押し付けがましい。相手に我慢をさせてしまう。それでもそれを受け入れた次男嫁は次男にとって唯一無二の奥さんだと思うし、もうそのまま幸せになってほしい。
でもきっと、その我儘も理解したうえで、引きこもるまでに我儘を言わない次男がやっと言えた最初で最後の我儘だからこそ、次男嫁含め客も次男の姿に惚れるのだろうなぁと思う。

長女の愛は初めて愛だ。彼女は強い。一人で生きていけるほどに強い。でも、彼女は同じくらい弱い。寂しがり屋で自分が誰かの唯一の何かになりたかったのだろう。初めて「守りたい」と言われて、向き合ってのこれだ。当人にとってはこれから先は地獄だろう。しばらくは絶対に恋することも愛することもできない。
でも、きっと彼女は時間が経てば再度誰かを愛することだろう。彼女が一番、普通の女の子をしているから。終わってしまった恋が運命の出会いだと思えば思うほどに縛られるが、どうせ本当の運命なんて死ぬまでわからないのだから。

他の人の愛は考えるのが面倒なのでそっとじ。

本当に楽しかったし、性癖に刺さるいい舞台でした。

ちなみに永遠の生についての個人的意見は呪いです。以上!!

 

 

あとがき

最後に劇ってすごいなって思ったし、楽しいと思う。

まず私は舞台の音響というか、地声で声を届けるあの空間が好きなんだと思う。そして物を叩いたりしたときの自然なSEというか環境音も好きだと分かった。

 

でも、多分、私は観劇が趣味にはならないんだろうなとも思った。好きだし焦がれるけど、どうしても、私が多動寄りで2時間ほどじっとしているのが難しい。一切できないわけではないけど、他人に迷惑かける可能性を考えると純粋に楽しめるのかが不安である。また、じっとするのが苦手だからこそ、他人のためにも空いている映画の後方座席のほうが性に合うというのが本音だ。映画と舞台が別物だというのも事実なんだけど。

舞台である以上、全員の細かい行動を見ていたいかつ違いを楽しみたいからこそ、行くのなら最低2回からがいい。そう言っている時点で、金銭的にも地獄の始まりだからこそ趣味にはならないと思う。

 

しかしながら、じっとするのは苦手とはいえ観劇はめちゃくちゃ楽しかったら、来年は誰が出ようと千秋楽は一枚取っておこうかなぁ。そして、来年発売のいと恋めやものDVDも購入予定だし。

それとは別に他の舞台も見たいから、2年以内にチャレンジするぞい!
でも、キャラクターに思い入れのないストレートな舞台を見たいのだけど、じゃあ、琴線に触れる舞台の探し方がわからないというのが次の課題だなぁ。

*1:「また運命の人を食べてしまった」という台詞はあるけど、運命の人と思い込んだだけで別に本気の愛ではなかったのかなって思っている派です。恋愛って奥が深いからね。

*2:次男役の平野良さんも「どタイプ」って言っていたから、せやな。わかる。って思った。平野良 公式ブログ - 解散 - Powered by LINE